音楽科の授業で取り組む筝の学習 その1 

筝の学習をすることの意義 

 来年度完全実施される新学習指導要領では「国際社会に生きる日本人としての自覚の育成が求められる中、我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を基盤として、我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等を養う観点から、学校や学年の段階に応じ、我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行なわれるようにする。」とある。伝統音楽を指導することへの期待と要望は今後ますます高まっていくでしょう。

富士見小学校音楽科では筝や三味線、太鼓といった伝統音楽に対する理解を深めるために3年生から6年生まで授業カリキュラムに伝統楽器、特に筝を演奏する指導を取り入れています。筝は伝統音楽のなかでは比較的児童が親しみやすく、教師が調弦をすればいろいろな曲を演奏することができます。またリコーダーと合わせて柔らかい穏やかな音楽を奏でることもできます。二重奏や三重奏に広げることも容易です。このように筝は様々な可能性を持った楽器です。本校では教科書教材を活用し、3年生で「うさぎ」、4年生で「さくらさくら」、5年生で「日本の民謡と子もり歌」、そして6年生で「越天楽今様」を筝用に書き直し用いている。富士見の子供たちは4年間で4曲以上の筝曲を体験してきています。

一方本校では課外活動として富士見和楽器クラブ(こと部、三味線部、太鼓部)があります。こと部は20年以上に渡り、地域のボランティアの先生から月3回のお稽古をしていただいてきました(現在は休部中)。また10年程前から地元民謡連盟のご指導の下、三味線部を設立、さらに太鼓部も地元のボランティアによる指導を受けて活動し、校内で発表会を開いたり、地域の行事に参加したり、都内の発表会に出演したりし、本校の特色ある教育活動の一環を担ってきました。このように、学校教育だけでなく、地域の方々の理解・協力を得て伝統文化の指導を行なっているため、伝統音楽に対する関心は学校全体でも高いです。

 これから、その指導の過程をご紹介し、誰でも明日から実践できるということを伝えていきたいと思います。

〜「さくらさくら」をおことでひこう〜

 対象学年:4年生

 指導計画

(1)4月 「さくらさくら」をうたう。

    本校の3階の音楽室の窓のすぐそばに桜の木があって、4月は間近に満開の桜の花を観ることができる。そこで4年生の教科書に掲載されている「さくらさくら」の歌を歌う。そのときにこの曲は後日おことで演奏することを伝えておく。

(2)6月 「さくらさくら」をおことでひく。
  

 

学習活動

指導事項

・「さくらさくら」を歌う

 

 

 

・おことについて知る。

・4月に歌ったことを思い出させながら丁寧に歌わせる。

メロディーの繰り返しに気付かせながら歌わせる。

特に1回しか出てこない最後のメロディーは音程を正しくおぼえさせる。

・おことの基本的な知識を指導する。

 ☆おことの歴史や各部の名称、糸の数え方、つめ、調弦について(DVDなどを利用するとよい)

 ☆構え方、姿勢、弾きかた、楽器を大切にすること

 ※弾いたあと次の糸で止めることはしっかりと指導しておく。教師が範奏し、見せるとよい。

☆日本の音楽の特徴とよさ

・おことの楽譜について見方を指導する。今回は3重奏なのでTのパートが主旋律であることを指導する。  

「さくらさくら」をおことで弾く その1

・3人でグループを作り、1面のことを使用し、Tのパートを 交替で練習させる。

☆3フレーズ目までを弾く。できた児童には次の3フレーズに進むように促す。(歌う活動でこの6フレーズは繰り返しになっていることに気付いているのでそう困難ではない)

  ※弾いていない児童には歌詞で歌ったり、数字譜で歌ったりして友達を支援するよう促す。

※楽器準備はグループで行なう。おことの運び方、
置きかた、つめの扱い方などは丁寧に指導する。

 ※調弦はできるだけ正確にしたいが、一人の教師が毎時間10面のおことを完璧に調弦することは難しいので、一面だけ正確に調弦し、それに合わせて行なうようにするとよいのではないだろうか。

「さくらさくら」をおことで弾く   その2

・3人で1面を使用し、Tのパートを練習させる。

・教師がUのパートを範奏する。(この際Tのパートと合わせ て弾けるとさらによい)

・3人で交替しながら、TパートとUパートを合わせる。

※この二重奏は耳に慣れたメロディーなので取り組みやすい

「さくらさくら」をおことで弾く  その3

・教師がVのパートを範奏する。(この際3つのパートを弾けるとさらによい)

・3人で役割を決め、交替しながら3つのパートを合わせる。

  ※最初の合図はTパートの児童が「ヨッ」と声かけする。

  ※教師は机間巡視をしながら、支援を行なう。役割の工夫によって上手くいくことを指導する。

・発表会を開くことを伝え、そのために話し合いで役割を固定して練習する。

・各グループが交代でリハーサルを行う。

※教師はグループの仕上がり具合を見て、発表順を決める。テンポが上がらなかったり、スムーズに行かないグループに配慮する。

おことで「さくらさくら」

の発表をしよう

・担任の先生や管理職、専科の先生を招待し、おことの発表会をする。 

  ※教師は簡単なステージ(舞台)を設定し、調弦器で正確な調弦をしたおことを用意する(1面)。3面用意できればよいが、なかなか難しい。   

・おことの学習のまとめと感想を書く。

(3)おことの学習に使用した楽譜

 ※本校の児童の実態に合わせてTパートは教科書通りのメロディ、Uパートは合いの手と

考えて加えたメロディー、Vパートは伴奏とし、最後に子供たちの大好きなアルペジオを

持ってきた。(「楽しい筝楽譜集」 音楽の友社 山内雅子・大原啓司著を参照にしました)

実際の指導について